破綻寸前ギルドを追放冒険者のゴミ拾い能力が救います~第12ゴミ拾い 宣戦布告~

ゴミ拾い

「なんだ?」

 地電のダンジョンを囲っているラフワー市所属の冒険者の1人が言う。

 大きな地鳴りと共に、巨体な<何か>がこちらに迫って来ていた。

「メリダのギルドめ……いよいよ本格的に戦争をふっかけてきたか……」

 別のラフワー市所属の冒険者が言うと、その隣の冒険者が伝令を出した。

「我牙のギルドに伝達を!」

「我々のギルド長にも伝達を頼む」

 他の冒険者も言い、伝達に長けた冒険者やパーティーがそれぞれのギルドに伝令を発した。

 そして、迫ってきた巨体の<何か>が、土煙の中から姿を現した。

 ●

「ふぅ。なんとかバレずに済んだね」

 穏風のダンジョン1階層でアドが息を吐く。

 特に強いモンスターがいるわけでもないこの場所で、何からアドは身を潜めていたのかといえば、ただの訓練である。

「はい。最近ではほとんど気づかれずにいますね」

 隣のシャラが頷く。

 冒険者を見ればほぼすぐに逃げるモンスターがたくさんいるこの場所において、モンスターが逃げずにのんびりしているということは、アドとシャラはモンスターに気づかれていないと言えるだろう。

「気配を消すコツがなんとなく分かった気がするよね」

 にこりとアドが微笑む。

 ドキン――

 シャラの心臓が跳ねる。

「ははははははい」

 変な返事になってしまったのは、時折アドが屈託ない笑みを見せてくるからだ。

 ほんわかしかのどかで平和な時間。

 そんな時間がずっと続くと思われた……

 しかし――

 周囲でのんびりしていたモンスターが一気に逃げ出す。

「大変です」

 続けて聞こえる甲高い声はイリのものだ。

 イリは村で休んでいるはずなのに、ダンジョンに入って来るということは余程の緊急事態なのだろう。

「とにかく村に戻ってきてください!」

 息も絶え絶えにイリがそう口にした……

 ●

「そ……そんなことが……」

 村長の家でアドが絶句する。

 イリの話しはこうだ。

 地電のダンジョンがメリダのギルドのものになったということと、メリダのギルドが世界中の他のギルドに対して宣戦布告をしたということだった。

「宣戦布告って」

 シャラが驚く。

「メリダのギルドは、他のギルドに侵攻してそのギルドを植民地にしようと考えているようです」

 イリが肩を震えさせると、村長が付け加えた。

「今後戦争が始まるから、税金を高くするとお達しもありました……」

 我々はどうすればと嘆く。

 さっきまでの穏やかな空気は一変し、不穏で淀んだ空気が辺りを支配した。

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