それでも好き~エピローグ~

それでも好き

 大人になると季節が進むのは速い。

 大学に入学してからも相変わらず彼女と別れれば新しい彼女を作った。

 社会人になり、少し落ち着くとその時付き合っていた人と将来のことを真剣に考え始めた。

 結婚し、子供ができて順風満帆と平凡な言葉でしか言い表せないが、幸せだった。

 それでも時折、高校時代の恋愛のことを思い出す。

 須藤のこと。

 笠間のこと。

 佐藤のこと。

 そして、高山のことを……

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 大学時代に一度だけ、高山とは再開している。

 同窓会でのことだ。

 当時、俺には彼女がいて、高山に彼氏がいたのかは分からない。

 相変わらず俺は、本当に好きな人の前では逃げてばかりいた。

 2次回のカラオケで高山たち女バスと同じ部屋になったのに、俺はトイレへと逃げ込み、そのまま陰キャグループと一緒に帰宅した。

 別の機会で、小学校の同窓会があった時に、今だから言える話しの中で誰かが誰かのことを本当は好きだったと告白していた。

 あれが俺にもできたならば――

 誰もが経験があるだろう……

 本当に好きな人とは別の人と付き合ってしまうこと……

 おとぎ話や漫画の世界では、意中の人と自分が相思相愛でそのまま付き合う。そして見事結婚。なんてこともあるだろうが、現実はそうはいかない。

 本当に好きな人が他の人を好きでいることはよくあることだし、その本当に好きな人を忘れるために他の人と付き合うこともよくあることだ。

 そして結婚して、子供ができて、仕事もそこそこうまくいき、いわゆる平凡だけど何一つ不自由なく幸せな生活を手に入れて尚、思い出す。

 あの頃の、本当に好きだった人のことを――

 もしもあの時、付き合っていたらばどんな人生だったのだろうか?

 きっと今みたいに幸せではないし、大切な妻にも娘たちにも出会えていないだろう。

 それでも思わずにはいられない――

 それほどに本気で愛し、本気で青春をしていたのだ――

 今が幸せでも尚、思わずにはいられない。
 あの頃の、本当に好きだった人のことを――
 けれど今、胸を張って言える。
 あの恋があったから、今の俺がいるのだと。

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