shiyu

それでも好き

それでも好き~第4恋 笠間里美~

「佐久間?」 一番ありそうな答えを最初に言う。 これが違うことになれば残りは自分しかいないからだ。 期待が胸いっぱいに膨らむ。「正解! やっぱりわかっちゃうか」 ……は? いやいやいや。 俺……じゃなくて佐久間? しかも何て言った? わかっ...
どうせ勝てない魔王

どうせ勝てないので、魔王は勇者を楽しませることにしました~第13娯楽~

その青年は剣を持っていなかった。 防具もない。 魔導具もない。 あるのはくたびれた外套と、底の擦り切れた靴だけ。 城門の前に立った青年は、しばらく動かなかった。「……ここが魔王城……」 声はひどく乾いていた。 青年の名はセイン。 元・勇者候...
フラ壊

『クラス最底辺の俺、触れたヒロインの死亡フラグが見えるんだが助けたら世界が壊れそう』 ――助けたいだけなのに、選択肢が残酷すぎる~第15花 大人は、もっと怖い~

異変は、まず職員室の空気から始まった。 アスターは気づいていなかった。 けれど、教師たちは、もうとっくに気づき始めていた。 ――クラスの空気がおかしい。 ――生徒たちが、ひとりの生徒を過剰に意識している。 ――そして、事故を境に、妙な噂が流...
フラ壊

『クラス最底辺の俺、触れたヒロインの死亡フラグが見えるんだが助けたら世界が壊れそう』 ――助けたいだけなのに、選択肢が残酷すぎる~第14花 そのノート、使わせて~

変化は、静かに広がっていた。 誰もはっきりとは言わない。 けれど、確実に。 ――アスターの周りだけ、空気が違う。 視線が増えた。 ひそひそ声が増えた。 近づいてくる人間と、露骨に距離を取る人間に分かれ始めた。 そして、 近づいてくる側の目は...
どうせ勝てない魔王

どうせ勝てないので、魔王は勇者を楽しませることにしました~第12娯楽~

休憩スペースの空気はいつも通り静かだった。 リシェリアは窓際の席に座り、ぼんやりと外を見ていた。 カップはすでに空だ。「……今日も何もしてないな、私」 自嘲気味に笑ったその時。 入口の扉が静かに開いた。「……あ」 聞き覚えのある足音だった。...