花晴のギルドは雄広のギルドと領土を接している。
ギルドの規模はほぼ同じであり、同盟ギルドの大きさも同じだ。
この2つのギルドは今まで平和で友好的な関係を築いていた。
兄弟ギルドと呼ばれる程に仲が良く、多くの住人が行き来し、たくさんの人が移住したりしていた。
そんなギルド同士が、ギルド大戦によって戦争をしているのだから、世の中とは分からないものである。
しかもこの2つのギルドが同盟を結んでいるギルドはそれぞれに、メリダのギルドでもなければ月影のギルドでもなかった。
「肺追か……何度も一緒に冒険をしたやつらだ。手の内は分かっているな?」
岩陰に潜みながら1人の男が言う。
どうやら退治しているパーティーと顔なじみのようだ。
「出てこい湘虎! 明輝のダンジョンで助けてやった恩義を忘れているならここで叩きのめしてやる!」
肺追の1人が叫ぶと、岩陰に潜んでいた男が激怒して顔を出した。
「ふざけるな! 栓米の海で助けてやったのはこっちだぞ!」
今までも、助けてやった。という気持ちが強かったのだろう。
2つのパーティ―は衝突する。
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花晴のギルドと雄広のギルドの境界の1つであるこの場所は、後に大地が裂けた場所と呼ばれる。
肺追という花晴のギルドに所属するパーティーと、湘虎という雄広のギルドに所属するパーティーが争った場所だ。
「左! くるぞ」
男が鋭く叫ぶと、分かってる。という女の声が返って来る。
叫んだ男が目をやると、女が白い蛇を避けているのが視界の隅に入る。
「白蛇の能力……スキル腕蛇だな?」
鋭く叫んだ男がそう零しながら、真っすぐ前を見据える。
目の前は木々が生い茂っている。
この男のスキルの1つ、樹誕である。
目の前は木々が生い茂っているだけなのに、男は独り言ではなく明らかに誰かに話しかけるように言葉を口にした。
「ガリアードだな?」
すると、どこからともなくしわがれた声がした。
「さすがじゃな。クロッス」
声と同時に木の枝が飛んできた。
まるで、誰かが投げたかのようだ。
クロッスと呼ばれた、鋭く叫んだ男はいとも簡単に枝を腕で跳ねのけた。
「いい加減出てきたらどうだ? ガリアード」
どうやらしわがれた声の主の名は、ガリアードと言うらしい。
世の中には様々な能力があり、似たようなスキルが存在する。
通常は、ダンジョンを攻略するためにあるはずの能力やスキルだが、同じ能力者同士の戦いでこそ、その真価を発揮する能力やスキルも存在した。
アドのゴミ拾いも実はその1つである。
そしてガリアードの能力もまた、それと同じであった。
「アイテムと同じ能力じゃと馬鹿にされたワシの能力。とくと味わうがよい!」
ガリアードが叫ぶと同時に、クロッスもまた叫んで何かしらの攻撃を防ごうとした。
大きな衝撃は大地を裂き、ガリアードとクロッスの命を奪った。
それだけでなく、この場にいた全員の命を奪った。
こうして、肺追と湘虎は全滅という幕引きとなったのだった。
