「ミカー様! 平気ですか?」
道化師のお面を被った人類種が声を掛ける。
「平気です。堕天使ちゃん……人類種を作品にしているのはあなただけじゃないですよ?」
フフフ。とミカーが不適の笑みを浮かべる。
その周囲には何人もの、道化師のお面を被った人類種がいた。
皆、それぞれに違う表情のお面であり、鼻が赤いだけでどう見ても道化師には見えないお面を被った者も居た。
「ホウ。あなたは何人かの精鋭を率いてシクラへ向かいなさい」
ミカーが笑顔のピエロのお面を被った、小柄な者に指示を出す。
「戦争ですか?」
楽しそうに、ホウと呼ばれた者が言うがミカーは不敵な笑みを浮かべて何も答えない。
「カーネーにはダイが向かいなさい。何人かの精鋭を連れて行くんですよ?」
ミカーは、赤い鼻に白い顔に目の淵が真っ黒なお面を被った大柄な者に今度は声をかける。
「おで。頑張る」
「私もついていくわ」
心配だから。と言わんばかりに、ダイについて行くと名乗りを上げたのは、泣き顔のピエロのお面を被った者だった。
「ニンが行ってくれるなら安心ですね」
にこりとミカーが微笑む。
「私たちが向かう場所はどちらも人類種が統治している場所ね。何かするのかしら?」
ニンが身かーに問うと、ミカーはにこりと微笑んだ。
「ニンは頭がキレますね」
「道化師の中で一番のキレ者ですよ」
誇らしげにホウが言う。
「堕天使ちゃんの作品がとうとう1つの街道を繋げました」
切れ者であるニンに対してミカーが話す。
「それが世界の秩序を保つためのものならいいのですが、神人種はそんなことをしなくても世界の秩序は保てると仰ります。私は神人種の言葉を信じたいので邪魔してみようと思うわけです」
「……わかったわ。私たちで具体的な作戦を考えるけどいい?」
ニンの問いに、ミカーはご自由に。と言葉を残してこの場を後にした。
「分かる? ミカー様はガブリーより上にいたいの。ガブリーの邪魔をしたいだけで、神人種のためでもなんでもないわ」
ニンがホウに言うと、ホウは楽しそうに言う。
「いいじゃんか。楽しいことが増える。それだけで世界は救えるさ」
「あのねぇ。私たちは確かにミカー様に逆らえないけど、同じ人類種と戦うことになるのよ?」
「おで。強いやつと戦いたい」
ダイが太くて大きな腕をぶらぶらさせる。
「それに俺たちはミカー様や神人種のために何か行動を起こすわけじゃないだろ?」
意味ありげな言い方を、ホウがすると、ニンは諦めたように頷いた。
「今までの私たちの暗躍が無駄になる可能性があるけど仕方ないわね……それに、私たちのこの行動は最終的にはきっと神人種のためになることなんでしょうね……」
ブツブツとニンが言うが、ホウとダイはどうやって人類種と戦うかについて楽しそうに話していた。
「これだから男子は」
ニンの呟きは虚しく響き、誰の耳にも届かなかった。
こうして数人の道化師集団は、カーネーとシクラへと向かった。
これから人類種同士の戦いが始まり、ミカーの言う作品が完成していくのであった。
