――繋がった。
高渡は何がどう繋がったのか分からないのに、何かが繋がったことだけははっきりと確信できた。
『こんなくそみたいな世界に、何が繋がるんだ?』
自分が感じた不思議な感覚に訝しみながら、高渡は今日の出来事を忘れようと必死になった。
「だっせーな。そんなんだからモテないんじゃね?」
椎名の取り巻きギャルの言葉が脳内に何度も再生される。
そんなことは分かっている。
自分が椎名とは釣り合わないことも、あそこで勇気を出さなかったことも全ては自分の責任だ。
それでも――
「自分を守りに行ったらいけないのかよ」
そう呟きながら高渡は眠りについた。
今夜の夢は不思議な夢だった。
●
砂と岩でできた砂漠のような大地。
そこを美少年と1人の少年が歩いている。
そこの土地の名は、エンドリア。
美少年の名はカーズローでもう一人の方が敵と言うらしい。
ファンタジーな世界の夢だ。
ドワーフ族がどうのと2人は話していた。
高渡は2人をやや遠めの少し高い位置から見ているようだった。
『幽体離脱とかしたらこんな感じなのかな?』
自分自信を見ているわけでもないのに、何故か高渡はそんなことを思った。
ふと岩陰を見ると、耳の長い美少女が2人のことをじっと見ていた。
「敵様。今日も素敵ですわ」
エルフはどうやら敵のことを監視? しているらしい。
高渡からすればストーカーだ。
『ちょうど僕もこんな風に思われているのかな?』
口からなぜか涎を垂らすエルフを見て、高渡は世のストーカーはみんな対象物を見たら涎を垂らすという間違った認識を得た。
●
翌朝、夢から醒めた高渡は夢の内容を覚えていなかった。
ただし、何だか変なファンタジーな夢を見たという朧げな記憶だけはあった。
その日から、時折高渡はこのファンタジーな夢を見ることがあった。
夢の中では自分の意識ははっきりとしており、ある程度自由に動けることまで分かった。
ある日、敵に消えていろと言われたガブリーの後を追ってみた。
既にこの夢を見るのは3度目だったので、別のところに行ってみたかった気持ちが強い。
それに、夢の中では今まで見た夢を全て思い出せていたのもあった。
すると、ガブリーはミカーと呼ばれる天使と激しい魔法での戦いを繰り広げていた。
戦いの途中でガブリーは、何かが繋がった確信があり、劣勢を逆転してミカーに勝利していた。
高渡は、その繋がったというのが自分の夢とこの世界での出来事なのだと理解できていた。
しかし、起きると断片的にしか思い出せない上に所詮は夢での出来事であり、自分の世界は今まで通りくそみたいな世界だった。
ゲーム好きだし妄想癖もあり、ちょっと前までは中二病だった高渡だが、さすがに自分がファンタジー世界に転生したなんて妄想もしないし、現実とは違うことも分かっていた。
ただし、最近は寝るのが楽しみになってきており、こんなくそみたいな世界に楽しみができたことにやや戸惑いを感じてたりもした。
●
この日高渡は、バイトを終えて急いで帰路についていた。
早く夢の続きを見たかったからだ。
断片的に覚えている記憶の中でも、前回敵とカーズローが戦う前で終わっていたのを覚えている。
まるでテレビアニメの続きを楽しみにしているかのような、次に見る夢がなんとなく高渡には分かっていた。
『不思議だなぁ。たかが夢なのに夢じゃないみたいだ』
――ドン。
いつもならしない失敗をしてしまった。
物思いに耽っていたからか……
人にぶつかってしまった。
「あん?」
しかも、あろうことかこの前カツアゲしてきたあのヤンキーにだ。
ヤンキーはぶつかってきた奴がどんな奴なのか、不機嫌そうに睨みつける。
その相手が高渡だと分かると何故か、笑顔を見せた。
「この前のにーちゃんじゃねーか! 約束したよな? いいもん見せるって」
そう言って見せてきたのは、両手を縛られてまるでファンタジー世界で敵に捕まったかのような椎名だった。
「助けて……」
微かな声で椎名が言った――
