shiyu

フラ壊

『クラス最底辺の俺、触れたヒロインの死亡フラグが見えるんだが助けたら世界が壊れそう』 ――助けたいだけなのに、選択肢が残酷すぎる~第20花 それ、違います~

紙が、わずかに擦れる音がした。 アイリスの指先が、ノートの表紙を持ち上げる。 あと少しで、ページが開かれる。 その瞬間。「……それ、違います」 声が、教室に落ちた。 小さな声だった。 でも、なぜかはっきりと、全員の耳に届いた。 空気が、止ま...
どうせ勝てない魔王

どうせ勝てないので、魔王は勇者を楽しませることにしました~第18娯楽~

王都はやけに明るかった。 白い石の建物。 整えられた道。 掲げられた無数の旗。 それは「平和の象徴」であるはずだった。 だが、その中央を歩く勇者の足取りは重かった。 両手は拘束されていない。 鎖も檻もない。 それでも、どこにも逃げ場がないと...
どうせ勝てない魔王

どうせ勝てないので、魔王は勇者を楽しませることにしました~第17娯楽~

城の中は朝の匂いで充満していた。 焼きたてのパンの匂い。 湯を沸かす音。 誰かの笑い声。 ほんの数日前まで、ここが戦場になる寸前だったとは思えないほど、穏やかな空気だった。「……今日は静かだね」 長い廊下を歩きながら、誰かがぽつりと呟いた。...
どうせ勝てない魔王

どうせ勝てないので、魔王は勇者を楽しませることにしました~第16娯楽~

夜明け前の空気は冷たかった。 討伐部隊の仮営地にはほとんど音がなかった。 眠っている者もいる。 眠れずただ目を閉じている者もいる。 そして――眠ることを諦めた者もいた。 若い兵士は、焚き火の前に一人座っていた。 ――レイ――だ。 見た目は若...
どうせ勝てない魔王

どうせ勝てないので、魔王は勇者を楽しませることにしました~第15娯楽~

その日、城門前は異様な空気に包まれていた。 風の匂いが重い。 いつもなら感じない、鉄の気配が混じっている。「……来ました」 城壁の上に立つ見張りの魔族が静かに告げた。 俺はゆっくりと城門の方へ視線を向ける。 遠くに砂煙が上がっている。 砂煙...