shiyu

どうせ勝てない魔王

どうせ勝てないので、魔王は勇者を楽しませることにしました~第9娯楽~

次に現れたのは、勇者ではなかった。 鎧ではなく、軽装。 剣でもなく、杖でもない。 腰に下げているのは、小さな道具袋とノート。「……ここが、本当に魔王城?」 入口の前で、少女は首を傾げていた。 名はルノ。 職業――調査士。 魔物を倒す者ではな...
どうせ勝てない魔王

どうせ勝てないので、魔王は勇者を楽しませることにしました~第8娯楽~

その勇者は、最初から不機嫌だった。「……で? ここが例の魔王城?」 ダンジョン入口で腕を組み、壁にもたれたまま動こうとしない。 見ただけで不機嫌だと分かる。 装備は一級品。 立ち姿に隙がなく、視線だけで周囲を測っている。 ――手練れだ。「噂...
フラ壊

『クラス最底辺の俺、触れたヒロインの死亡フラグが見えるんだが助けたら世界が壊れそう』 ――助けたいだけなのに、選択肢が残酷すぎる~第10花 まだ、死んでいないだけ~

その日は、何も変わらない朝だった。 教室はいつも通り騒がしくて、 廊下には寝不足の声が漂っていて、 スズランは、いつも通りの顔で笑っていた。 ――だからこそ。 アスターは、朝からずっと落ち着かなかった。 ノートを開かなくても、わかる。 空気...
フラ壊

『クラス最底辺の俺、触れたヒロインの死亡フラグが見えるんだが助けたら世界が壊れそう』 ――助けたいだけなのに、選択肢が残酷すぎる~第9花 知らないままで、いられなくなる~

スズランは、最近、ずっと胸の奥が落ち着かなかった。 理由ははっきりしている。 アスターの態度だ。 優しくなったわけでもない。 冷たくなったわけでもない。 ただ―― どこか、決めつけたような距離になった。 話しかければ応えてくれる。 でも、そ...
どうせ勝てない魔王

どうせ勝てないので、魔王は勇者を楽しませることにしました~第7娯楽~

勇者たちが集まる街の酒場は、今日も騒がしかった。「なあ、聞いたか?」 酒をあおった冒険者が、声を潜める。「この前来た勇者がさ……魔王城から、帰らなかったらしい」「は? 死んだんじゃなくて?」「いや、生きてる。 剣も折れてないし、呪いも受けて...