デビルブレイブ城~第2魔王 仲間がいっぱい~

デビルブレイブ城

 翌朝、少年魔王が目覚めると、やはりキラリは既に起きていた。

 サイタがぶつぶつ文句を言っているところを見ると、サイタはキラリに起こされたのだろう。

 アーミーは相変わらず寝ている。

「おはようございます~魔王様~」

 少年魔王が起きたことに気がついたキラリが声をかける。

「ほらサイタちゃ~ん。魔王様が起きたからご飯ご飯~」

 見た目や話し方、性格とは裏腹にキラリは本当に世話好きだった。

 外で拾ってきた石や岩をダイキとキュイに与えていた。

「は~い。二人とも~ご飯だよ~」

 少年魔王がキョロキョロ辺りを見渡すと、ガーランドの姿がない。

「ガーランドは?」

 そう聞いたと同時に入口から鳥を口に咥えてガーランドがやって来た。

「さっすがガーランドちゃん~。牙獣族は狩りが得意だとは聞いてたけど、これほど上手に獲って来るなんてすごいわ~」

 キラリがガーランドを撫でると、ガーランドは嬉しそうに尻尾を振った。

 よく見れば、平らな石の上には鳥が4匹並んでいた。

 今ガーランドが獲ってきたので5匹目だ。

 ダイキとキュイは岩や石を食べるから、ちょうど他のメンバー分の鳥が用意されている。

 サイタが片手に持つ大きな包丁で素早く上手に鳥を捌いた。

 更にサイタが口から炎を吐いて上手に火力を調節しながら、平らな石の上で鳥を焼いていく。

「あれ? 調理器具ってないの?」

 ふとした疑問を少年魔王が投げかける。

「ないですよ。ダイキが見つけてくれた石の上に食材を乗せて、オイラの炎の息で焼いてるんです」

 ぼうぅ。と口から炎を吐き出しながらサイタが少年魔王の疑問に答える。

「みんな魔王様のために頑張ってるんですよ~」

 にこりとキラリが微笑みながら、その辺の草で作った前掛けを少年魔王にかける。

「サイタは、どんな物があれば料理が更に楽になる?」

 少年魔王が、更に料理を作るのが楽になるにはどうすればいいのかを聞く。

「まずは調理器具がほしいですかね。それと調味料とかがあるともっと美味しい料理が作れるんですけどね」

 少年魔王の皿に鳥の丸焼きを豪快に乗せながらサイタが言う。

「それなら、本日はそのような能力を持つ配下を生み出しましょう」

 眠たそうな目をこすりながらも、昨日よりは早く起きたアーミーが言う。

 おはようございます大魔王様。と丁寧にお辞儀をした後、自分の席であろう場所に腰掛ける。

 アーミーはもう朝が弱いことがバレてしまったので、堂々としていた。

 全員のご飯が用意されると、美味しく鳥の丸焼きを食べた。

「確かに何か味付けとか欲しいね」

 食べ終わった後に少年魔王が言い、調味料を作り出す専門のモンスターを生み出した。

 既に1日3回までモンスターを生み出せることも分かったので、最大限この力を使うつもりだった。

 生み出されたモンスターは、サリと呼ばれるバンパイアだった。

「はいはーい♡ガプッってしちゃうぞ♡」

 そんなことを言いながら生み出されたサリは、鋭利な八重歯を見せながらウインクした。

「サリさん。今後大魔王様は更に色んな味付けの料理を楽しみたいようです。サイタさんと共に調味料になりそうなものを見つけてください」

 寝坊しておきながらもアーミーが威厳たっぷりに言う。

「はーい。」

 と軽い返事をしたサリは、少年魔王の隣にやって来た。

「魔王様、そのお肉にはどんな味付けが好みですかー?」

「味付けかー。今日みたいな肉ならちょっとしょっぱ辛いやつとかかな?」

 んー。と考えながら少年魔王が答える。

 塩コショウ味とかそんな感じだろう。

「えー。キラリちゃんは甘めの味付けがいいです~」

「オイラは辛い味付けがいいな」

 みんながそれぞれに好みの味付けを話し出す。

「魔王様が好きな味付けは塩とかコショウが必要ですねー。塩は海に行かなきゃいけないので今は無理ですけどーコショウは栽培できますよー」

 サリが特徴的な八重歯を見せながら言う。

「あれ? 調味料をそのまま出せたりしないの?」

「大魔王様」

 少年魔王が疑問の声を上げ、サリが当たり前。というような態度を取ったのを見たアーミーが考察を述べる。

「もしかしたら、自然の理を捻じ曲げるような能力を持った配下は生み出すことができないのかもしれません」

「どーゆーことー?」

 アーミーの言葉を聞いてキラリが詳しく質問する。

「つまりですね。例えば食べ物が欲しいなら、好きな食べ物を出せる力を持つ配下を生み出した方がはやいはずです。しかし大魔王様が生み出した配下はサイタさんでした。つまり、何も無いところから物を出す力を与えることは不可能で、あくまでも自分達の力で物資を栽培したり作ったりしなければいけないということではないでしょうか?」

「じゃあキュイちゃんはー?」

 キラリの言葉通り、キュイは何もないところから石材を生み出す力を持っている。

「分かった。物を生み出す力を持っている場合は、それの形や大きさは変えれても他の物にする力は持てないんだ。前にアーミーも言ってたじゃん? 何でもかんでもできる力を持たせることはできないんだきっと」

 キラリの指摘にうろたえていたアーミーを見ながら、少年魔王が閃いて言った。

「可能性はありますね。大魔王様のお力にはまだ何か制限などがあるのかもしれません。それと、キュイさんのように生産する力の場合は資源を生み出すのに時間がかかる可能性もありますね」

「もしそうなら、自分達で作れるものは作った方がいいかもね」

 アーミーの推測に少年魔王も同意しつつ、城の周囲に作物を育てる場所を作ることにした。

 城と呼ぶにはまだ何もない場所だが、城の東側には森が広がっている。

 ダイキが果実を獲ってきたりガーランドが鶏を狩ってきた場所だ。

 森と城の間には少し開けた土地があり、その一角を石材生産拠点としている。

 石材生産拠点の隣に畑を作ることにした。

 畑はダイキとキュイが時間を見て管理することにした。

「畑で作れる物の種とかが欲しいね」

「他に必要な物としては、サイタさんの調理器具でしょうか」

 少年魔王の言葉にアーミーが答える。

「調理器具って具体的にどんな感じなの?」

 少年魔王がサイタに聞く。

「オイラが持ってるような包丁も調理器具の1つだし、肉を焼いたりする物があると楽ですな」

 生み出された時に手に持っていた大きな包丁を少年魔王に見せながらサイタが言う。

「これは鉄ですね」

 アーミーが得意の分析力を駆使して言う。

「じゃあとりあえず鉄を生み出せる力を持ってて、畑で作れる物の種をいくつか持って誕生!」

 少年魔王がそう言うと、新たなモンスターが誕生した。

 これで今日使える生み出す力は残り1回となった。

 ●

 少年魔王が生み出したモンスターは、ガブリスという名前の見た目は巨大なロボットだった。

 キュイと似たような力を持っており、鉄を一定時間かけて生産することができる。

 また、鉄を加工する力も持っていた。

 石材生産拠点の下の部分がまだ空いているので、そこを鉄生産拠点とした。

 石材生産拠点も鉄生産拠点も1匹につき1箇所しか作れないようだ。

 更にアーミーの予想通り生産には時間がかかる上に、その量は少量だった。

「今度余裕がある時に、生産する配下をもう少し増やした方がいいですね」

 その状況を見たアーミーがそう、進言した。

 キュイが生産された石材をガーランドが運べるサイズに加工し、ガーランドがそれを使って、今少年魔王が寝ている城の1階部分をぐるりと壁で囲った。

「これでとりあえず、城壁ができた感じだね」

 少年魔王がガーランドに言うと、ガーランドが1つ注意点を告げた。

「今回生産された石材の量だと、壁の補修などが限界だった。明日も同じ数しか生産されないなら、2階部分を作れるのは明後日以降になるぞ」

 つまり、ガーランドが扱える限界の石材の量よりも、生産される石材の量が少ないというのだ。

「どうなさいますか? あと1回だけ使えるお力を使って、石材を生産する配下を増やしますか?」

 アーミーに聞かれた少年魔王が、少し考えた後に口を開いた。

「いや。せっかくガブリスが作物の種をいくつか持って現れてくれたんだし、作物を作る力を持つ配下がいいかな」

 こうして作物を育てる知識を持つモンスター、ケハタを少年魔王は生み出した。

 ケハタは、サイタと同じ豚人種だ。

 作物の知識を豊富に持っている。

「我が主のために誠心誠意尽くします」

 片膝をついて跪くようにしてケハタが挨拶をする。

 物凄い低姿勢だ。

「ガブリスがいくつか作物の種を持ってきてくれたんだけど、これ育てられるかな?」

 少年魔王がいくつかの種をケハタに見せる。

「お任せください。おや? お米の種も混ざっているようですね。畑と田んぼの両方を作る必要がありますが大丈夫でしょうか?」

「え? あぁ。僕そういうのはよく分からないから全部任せるよ。力仕事が必要ならダイキとキュイにも手伝って貰って?」

 そう少年魔王が言うと、ここで根本的な問題が出てきた。

「それでは田畑を作るための水はどこにありますか?」

 ケハタの質問にみんなが唖然とした。

 今までの料理は全て焼き料理。喉が乾いた時は雨水が溜まったのを飲んでいた。

 でも流石にそれで田畑が作れるとは思えない。

「どこかに水場があるか見て回りますか?」

 アーミーが提案し、全員で水を探して辺りを探すことにした。

 少年魔王とその配下のちょっとした冒険が始まった。

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