デビルブレイブ城~プロローグ勇者サイド~

デビルブレイブ城

 ――ここは?

 目覚めて最初に思ったことはそうだった。

「勇者様がお目覚めになったぞー!」

 耳元で大きな声がした後、耳をつんざくような怒号が周囲から沸き上がった。

「何が起きたの?」

 ややか細い声で美少女が問う。

 美少女は勇者と呼ばれていた。

「勇者様は、かつての魔王との戦いで昏睡状態にあったのです! 何十年も眠り続けていました」

 何十年も眠り続けていた割には、勇者と呼ばれた少女の姿は16歳くらいに見える。

「魔王? 勇者? 戦い? 昏睡状態?」

 混乱したままの少女勇者をよそに、周囲を囲んでいた人々が宴だー! と叫び始め、急遽宴席が設けられた。

 少女勇者を囲む顔ぶれは老若男女問わずだった。

 全員の目が希望と期待に満ちていることは、まだ幼い少女勇者にも分かったが、何に期待されているのかまでは分からないまま、終始作り笑いで宴会を終えた。

「お疲れ様でございます勇者様」

 宴会の出席者が帰った後に、最初に少女勇者が目覚めたことを発表した老人が頭を下げる。

「あの。私、ホント何も覚えていなくて、何がどうなったのか……」

 遠慮がちに聞く少女勇者に老人は優しく微笑んだ。

「最初の内は混乱することもあるでしょう。ご安心ください。あなた様は勇者様です」

「その勇者ってのが分からないんです。一体何をすればいいのでしょうか?」

 笑顔だった老人の顔がかげった。

「魔王を打ち倒すことが使命でございます……」

「魔王?」

「左様。この世界には魔王とその配下のモンスターが存在しています。かつて勇者様は魔王と壮絶な戦いを繰り広げ、魔王を討ち倒しました。しかし勇者様の傷もでかく、昏睡状態だったのです」

 ペコリと老人がお辞儀をする。

「それなら、もう魔王はいないのでは?」

 もっともな疑問を少女勇者が投げかけると老人が首を振った。

「いいえ。残念ながら魔王は復活します。殺せないのです。再び魔王が復活したとの報告がありました。ですから勇者様には、魔王を一刻も早く討伐してもらいたいのです。残念ながら勇者様以外に魔王を倒せる者はいないでしょう……今は復活したばかりで力も持たぬ魔王なので、我々民間人でも討伐は可能です。しかし、力を取り戻した魔王は勇者様にしか太刀打ちできません」

「私が――魔王を討伐する……?」

「まずはそのお力を取り戻しつつ、魔王城へ向けて出発してみてはいかがでしょうか?」

 困惑する少女勇者を老人が説得し、護衛としてラッカーという騎士が同行することとなった。

 こうして少女勇者は、半ば無理やり魔王討伐へと向かわされたのであった。

 まずは当時の力を思い出すために、修行場へと足を運ぶことにした。

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