新学期が始まって最初に驚いたのは、みゆうが更に綺麗になっていたことだ。
地道にアルバイトをして、そのお金で自分磨きを頑張ったそうだ。
以前のように勇者に気安く話しかけることはせず、ただのクラスメイトの1人として、必要な時だけ接している。
当然たくさんの告白をされているようだが、簡単になびくような女にはならず、高嶺の花のような存在になっていた。
俺とみずほとの関係は相変わらずだ。
でも焦りはない。マイペースに行けばいい。
「あんないい女フッたんだって?」
ゆーたが声をかけてくる。
「フラれたんだよ」
きちんと訂正しておこう。
「偉いじゃん」
なぜかさくらが褒めると、珍しくみゆうが話しかけてきた。
「あんた、あいつと付き合ったの?」
あいつと言って、みずほを顎でしゃくる。
「いや。まだ付き合ってはないよ」
「前にあんたにうちと付き合ってるつもりあんのか聞いたの覚えてる?」
優しい嘘をついた時のことだ。
忘れるわけがない。ミズナとさくらに思いっきり怒られた時でもある。
「あぁ。もちろん覚えてるよ」
「あの時からあんたの気持ち気づいてたから。あいつのこと好きって聞いたよな? あれ、正解だっただろ?」
にやりと笑ってくる。
そうか。俺はミサキのことかと勘違いしてたけど、みゆうはずっとみずほのことを言っていたのか。
「あ。うち彼氏できたから」
ここで突然の告白だ。
「「えぇ?!」」
驚いているのは、ミズナとさくさだ。
聞いてないよ。とか言っているが、わざわざ言うもんなのか?
いや。そういうもんなんだろうきっと。
「俺もみずほと付き合ったらみんなに報告せねば」
真面目な顔で言ったのになぜかあきらに笑われた
「なんでそーなるんだよ」
他のみんなもつられて笑っているが、うーむ。解せん。
「勇者の報告は何よりも大事なはず」
「はいはい。俺、モンクでいいからな」
ゆーたが腕を組んでくる。確かにモンク向きの体格だな。
「しかし勇者の仲間になるには試練を」
「私魔法使いだよね?」
なぜかさくらはもう仲間になってるかのようなセリフを言う。
「んで、どんな彼氏なの?」
ミズナが訊くと、みゆうは俺に思いっきりにっこりしながら答えた。
「おめーよりも全然いい彼氏! けどありがとな!」
「俺の方こそありがとう。現実と向き合わせてくれたから」
ゆーたの肩組を無理やり外しながら、手招きしてみずほを呼ぶ。
それを見てなぜかミサキもやって来る。
他のクラスメイトも、なぜかやって来る。
みんなみゆうに彼氏ができたことを祝っている。
俺とみずほの関係は相変わらずだけど、俺はみゆうとみずほのおかげで中二病を卒業できた気がする。
いや、異世界から現実世界に戻ったんだな。

