shiyu

その鵲は空の裏側を知る

その鵲は、空の裏側を知る~幕間 戻らない線~

深層は、静かだった。 あれほど荒れていた因果線が、 今はゆっくりと呼吸するように揺れている。(……一応、成功……か) そう思った瞬間、視界の端で赤い線が1本消えた。(……?) 慌てて観測を集中させる。 ――ない。 さっきまで確かにそこにあっ...
その鵲は空の裏側を知る

その鵲は、空の裏側を知る~幕間 護ると決めた、そのあとで~

夜の訓練場は、異様なほど静かだった。 風は吹いている。 木も揺れている。 なのに、音が薄い。(……学園全体が、息を潜めてる) タカは1人、中央に立っていた。 拳を開いてまた閉じる。 まだ、震えている。(……俺は、カラスと戦った) その事実が...
その鵲は空の裏側を知る

その鵲は、空の裏側を知る~幕間 気づいてはいけない違和感~

夕方の学園。 校舎の影が長く伸び、風が少し冷たくなってきた頃。 スズメは、理由もなく立ち止まった。(……?) 胸の奥が、きゅっと縮む。 嫌な予感というほど強くはない。 でも――何かが、抜け落ちたような感覚。「……カケル?」 名前を呼んだつも...
その鵲は空の裏側を知る

その鵲は、空の裏側を知る~幕間 観測される側の沈黙~

未観測領域の奥。 光の箱が静かに浮かぶ空間で、カケルは一人立ち尽くしていた。 シラサギは結界の外で調整をしている。 フクロウの気配も、すでに遠い。 ――今、この瞬間。 誰も、彼を観測していない。(……静かだ) 音はもうほとんど感じない。 代...
その鵲は空の裏側を知る

その鵲は、空の裏側を知る~エピローグ~

数週間後―― 学園の校庭には、やわらかな春の光が降り注いでいた。 風が吹くたび、桜の花びらが空を舞い、 地面に落ちては、また新しい色を重ねていく。 あの日、世界が壊れかけていたことなど、 今の光景からは想像もできないほど、穏やかな昼下がりだ...