その鵲は空の裏側を知る

その鵲は空の裏側を知る

その鵲は、空の裏側を知る~幕間 〈意識断片:カケル〉

……音が、欠けている。 いや違う。 音はある。 ただ届かない。 右側。 いや、左か。 どちらだったか、もうわからない。 床に触れているはずの手が遠い。 触覚が記憶みたいに遅れてくる。 ――生きている? その問いすら、輪郭を失っている。 因果...
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その鵲は、空の裏側を知る~幕間 〈静止する深層〉~

深層は奇妙なほど静かだった。 さきほどまで空間を引き裂いていた因果の奔流は止まり、 赤黒かった未観測領域は、色を失った水面のように凪いでいる。 カケルは、倒れ伏したまま動かなかった。 息はしている。だが、世界が――遠い。 音が半分しか届かな...
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その鵲は、空の裏側を知る~幕間 世界側ログ:〈修正成功/損失許容〉~

――記録開始。【観測対象】 未観測領域・第三層 管理番号:A-03-Λ 【修正要請】 局所因果歪曲の是正 観測者介入:確認 【実行結果】 修正:成功 安定率:87.4% 臨界崩壊:回避 【副次影響】 ・因果線消失:確認 ・連鎖的補正:実行 ...
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その鵲は、空の裏側を知る~幕間 戻らない線~

深層は、静かだった。 あれほど荒れていた因果線が、 今はゆっくりと呼吸するように揺れている。(……一応、成功……か) そう思った瞬間、視界の端で赤い線が1本消えた。(……?) 慌てて観測を集中させる。 ――ない。 さっきまで確かにそこにあっ...
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その鵲は、空の裏側を知る~幕間 護ると決めた、そのあとで~

夜の訓練場は、異様なほど静かだった。 風は吹いている。 木も揺れている。 なのに、音が薄い。(……学園全体が、息を潜めてる) タカは1人、中央に立っていた。 拳を開いてまた閉じる。 まだ、震えている。(……俺は、カラスと戦った) その事実が...