shiyu

どうせ勝てない魔王

どうせ勝てないので、魔王は勇者を楽しませることにしました~第24娯楽~

城門の見張りが、最初に気づいた。「……また来ます」 その声は、淡々としていた。 だが、城内の空気は一瞬で凍りついた。 砂煙。 規則正しい隊列。 掲げられた王国旗。 討伐部隊だった。 ● 城内は、混乱にはならなかった。 むしろ、静かすぎるほど...
どうせ勝てない魔王

どうせ勝てないので、魔王は勇者を楽しませることにしました~第23娯楽~

事件は昼間に起きた。 だからこそ厄介だった。 夜ではない。 誰もが起きていて、誰もが活動していて、 誰もが「何かを見た気がする」と言える時間帯だった。 ●「……誰か! 誰か来て!」 中庭に少女の声が響いた。 人が集まるのは一瞬だった。 倒れ...
君だけが俺をユイと呼ぶ

君だけが俺をユイと呼ぶ~第5話 コンという人間~

『今日、ユイの家に行くね』 昼休み。 スマホの画面を見たまま、指が止まった。「……は?」 声が漏れて、周囲の視線が刺さる。 反射的に画面を伏せた。 教えていない。 家の場所なんて、一度も。 冗談だろ。 そう思いたかったのに、胸の奥がじわじわ...
君だけが俺をユイと呼ぶ

君だけが俺をユイと呼ぶ~第1話 その名前だけが胸に残る~

入学から三日目。 クラスに転入してきた美少女は、俺の幼なじみだった。 ——ただし、俺だけがそれを忘れていた。「白石かおる。……普通の人には、興味ありません。無理に近づいてくる人は、たぶん……嫌いです」 教室の空気がぴたりと止まった。 『うわ...
フラ壊

『クラス最底辺の俺、触れたヒロインの死亡フラグが見えるんだが助けたら世界が壊れそう』 ――助けたいだけなのに、選択肢が残酷すぎる~第27花 遠回りの質問~

昼休みの教室は、騒がしい。 机を寄せて笑う声。 スマホの画面を覗き込む声。 廊下から聞こえる足音。 そんな中で、スズランは一人、静かに決めていた。(……やっぱり、気のせいじゃない) あの二人。 アスターとダリアの間には、何かがある。 それが...