君だけが俺をユイと呼ぶ

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君だけが俺をユイと呼ぶ~第5話 コンという人間~

『今日、ユイの家に行くね』 昼休み。 スマホの画面を見たまま、指が止まった。「……は?」 声が漏れて、周囲の視線が刺さる。 反射的に画面を伏せた。 教えていない。 家の場所なんて、一度も。 冗談だろ。 そう思いたかったのに、胸の奥がじわじわ...
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君だけが俺をユイと呼ぶ~第1話 その名前だけが胸に残る~

入学から三日目。 クラスに転入してきた美少女は、俺の幼なじみだった。 ——ただし、俺だけがそれを忘れていた。「白石かおる。……普通の人には、興味ありません。無理に近づいてくる人は、たぶん……嫌いです」 教室の空気がぴたりと止まった。 『うわ...
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君だけが俺をユイと呼ぶ~第4話 あだ名~

梅雨が終わりかけたころ、クラスで席替えが行われた。 正直に言えば、白石の隣を離れるのは惜しかった。 けれど同時に、これ以上変な空気になる前に距離ができるなら、それはそれで助かる――そう思っていた。 ……はずだった。「ねえ」 休み時間、背後か...
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君だけが俺をユイと呼ぶ~第3話 図書館~

――やってしまった。 机に突っ伏しながら、何度目か分からない後悔を噛みしめる。 クラスの空気は、もう完全に俺から距離を取っていた。 話しかけてくる人間も、視線も、昨日までとはまるで違う。 別に、あいつと仲良くなりたかったわけじゃない。 ……...
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君だけが俺をユイと呼ぶ~第2話 ユイというワード~

あの言葉が、頭から離れない。 大好きなゲームをしていても、指先だけが勝手に動いて、意識が追いついてこない。 ――ユイはズルいな…… 昼間、白石が確かにそう呟いた。「ユイって……誰なんだ」 声に出した瞬間、胸の奥に小さな違和感が残った。 机の...