どうせ勝てない魔王

どうせ勝てない魔王

どうせ勝てないので、魔王は勇者を楽しませることにしました~エピローグ それでも城は建つ~

城は、同じ場所には建てられなかった。瓦礫はすべて撤去され、あの場所は「危険思想発生地点」として、立ち入りを禁じられた。だから城は、少し離れた丘の上に建てられた。名前も変えられた。魔王城ではない。勇者とも、魔族とも、関係のない名前。誰が決めた...
どうせ勝てない魔王

どうせ勝てないので、魔王は勇者を楽しませることにしました~第30娯楽~

魔王城は、静かだった。崩れたわけではない。燃えたわけでもない。ただ――主を失った建物のように、呼吸を止めていた。玉座の間に、玉座はない。魔王が座る場所だったそこは、最初から何もなかったかのように、空白だけが残っている。城の外。広場に仮設され...
どうせ勝てない魔王

どうせ勝てないので、魔王は勇者を楽しませることにしました~第29娯楽~

でも「もう逃げられない」と読者に分からせる。そのまま本文でいく。第29娯楽:魔王のいない城 城は、まだ立っている。 壁も、門も、塔も、何一つ壊れていない。 それなのに―― 何かが決定的に欠けていた。 朝になっても、誰も声を上げなかった。「…...
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どうせ勝てないので、魔王は勇者を楽しませることにしました~第28娯楽~

角笛の音が、朝を引き裂いた。 低く、重く、逃げ場のない音。 城の外―― 討伐部隊が、再び隊列を組んでいた。「……来たか」 メルキオが呟く。 今回は、前回とは違う。 旗が多い。 人数も多い。 そして何より―― 迷いがない。 ● 城内は、混乱し...
どうせ勝てない魔王

どうせ勝てないので、魔王は勇者を楽しませることにしました~第27娯楽~

第27娯楽:その怪我は、誰のせいか 悲鳴が上がったのは、朝だった。 魔王城の中庭。 洗濯物が風に揺れ、いつも通りの一日が始まるはずだった時間。「――誰か! 来て!」 駆けつけた時、 石畳の上に倒れていたのは、少年だった。 名はユル。 魔王城...