勇者は発情中~第五エロ 温泉回~

勇者は発情中

人間が住む町は、ハクダクの話によると1週間の距離にあるらしい。

助態たち一向はその言葉を鵜呑みにしてリスの穴を出立した。

しかし、その1週間は1週間前に過ぎていた。

「もう歩いて2週間になるんだけど?」

助態の胸元でにこにこしているハクダクに助態が訊ねる。

「行ったことないと話しましたよね?ここがどの辺りか、もう私にも分かりません。」

にこりと微笑みながらハクダクが堂々と宣言した。

「もうずいぶんと歩いているようですが?」

不安そうに聞くのは純純だ。

「そうですね。噂に聞いていたのとは違いますね。1週間程歩けばたどり着くと聞いたのですが…」

「一体どこのどいつだい。そんな嘘をついた大バカは!」

はて?と小首を傾げたハクダクに対して、もふともが毒づく。

「あ、はい。それはもう覚えています。大鬼族です。」

それを聞いた助態以外のメンバーの足が止まる。

「どうした?」

くるりと助態が他のメンバーを振り返る。

「どうした?じゃないよ!アンタね!大鬼族の足で1週間ってことは、アタイらの足なら1ヶ月以上かかるわ!」

もふともが喚き散らす。

「え?そうなのか?大鬼族ってそんなに巨大なの?」

「私たちの3倍はあるわね。」

助態の疑問に答えたのはくびちだ。

どうやら大鬼族はただ大きな鬼の一族ではなく、いわゆる巨人レベルの大きさらしい。

「巨人とオーガが合体したようなもんか。」

ボソリと呟く助態の言葉は誰にも届かない。

それよりも大きな問題があった。

「困りましたね。1ヶ月以上となると食糧問題もありますし、この先の道が通行止めになる可能性もありますね。」

カバンの中を漁りながらルブマが言う。

「何よりもヤバいのは、アタイらが冬支度を全くしてないところだろ。なのにこの変態ときたら、どうした?ときたもんだ。」

変態と言いながらもふともは助態を親指で指し、間抜け面で助態のモノマネをした。

現世で言えば11月の半ば。北方面に進んでいるため寒さはどんどん厳しくなる。

とはいえ、助態たちは腐っても旅の途中だ。

ちょっとやちょっとの寒さ程度では足止めにもならないレベルの装備は整えている。

それなのに、この世界を知る他のメンバーの表情が明るくないということは、助態が知るレベルの厳しさではないということなのだろう。

そして間もなく助態はそれを身をもって知ることとなる。

一面の銀世界とはこういうことを言うのだろうか…?

都会に住む助態には、吹雪の経験もなければ大雪の経験もない。

天候は先ほどとは打って変わって吹雪。

視界が分からない程の吹雪。

路面は凍結の上、積雪で一歩進むのもしんどい。

騎士のぱいおは全身鎧の温度が急激に下がり、装備を外さざるを得なかった。

「炎の魔法とかないの?」

後ろにいるくびちに聞くが、どうやら覚えていないようだ。

「それに、この猛吹雪では炎の魔法を使っても無意味だと思います。」

助態の影で吹雪をガードしているルブマが言う。

「くっそ。どうすりゃいいんだよ。」

「だから言ったじゃないですか。こんな時期に長期間歩くなんて無謀なんですよ。言いましたよね?冬場は通行止めになることがあるって。」

「聞いたけど、道路が凍結したり流氷や氷山って話しだっただろ?猛吹雪なんて聞いてないぞ。っておわっ!」

突風が吹くと、油断していれば人が簡単に飛ぶ程の強さだった。

「きゃっ!」

助態と言い合いをしていたルブマが飛ばされそうになり、咄嗟に伸ばした手で助態の手を掴んでいた。

「か!勘違いしないでくださいよね!この前私のファーストキスを奪ったからって何でも許されると思ったら大間違いですよ?」

「この前振り向かせるって言ってなかった?とゆーかそれよりもラーガで酒に酔った時も俺にキスしてきてるよな?」

腕を組んでそっぽを向く、ツンデレポーズを見事にしているルブマに向かって、助態がごもっともな意見を言う。

確かに、前回夜にルブマは助態に向かって、振り向かせてみせると言っており、それと今回の言葉は全く合わない。

どちらかと言えば、振り向かせるためのチャンスシーンだろう。

更にラーガの村でルブマが酔っ払った時に既に助態にキスをしており、何なら股間も触っている。

ファーストキスと言うならばこの時だろう。ついでに助態の股間とのファーストタッチもこの時。

「い!いいじゃないですか!私がいつをファーストキスと言ってもー。」

「絶対忘れてただけだろ?」

「そんなことありませんー!」

そんな2人の様子を純純はどこか哀しそうな寂しそうな目で見ていた。

「あなた。助態がルブマに取られるわよ?」

隣でくびちが言う。

「へ?いえいえいえ。私そんなじゃありませんので。」

顔の前で両手を振って、純純が全力否定する。

「えー?でも純純って助態のこと好きだよねー?いつも目で追ってるしー。」

逆となりにいたぶららが言うと、くびちが大きく頷いた。

「そ!そんなことありません!」

「やっぱり純純も助態が好きなのかぁー。」

はぁとため息をつくもふともの隣でぱいおがまぁまぁとなだめる。

「それにしてもあれ以来ルブマさんちょっと積極的になってますねー。助態さんもルブマさんのルックスが好みだと言ってたっすからねー。純純さんがフラれる可能性もあるんじゃないっすか?ヒロインが勇者にフラれたら職業とかどうなるんすかね?」

「知らないよ。なぁーんであんな奴に惚れたのかなぁ?」

もふともが誰に言うでもなくポツリと言う。

「たぶんっすけど…助態さんって変態だしエロいし最低だしクズっすけど、それをカバーできる程の引き付ける何かがあるんすよね。正直、そこだけは羨ましいと思わなくはないっす。ウチには他人を引き付ける何かなんて持ってないんで。」

いつになく真面目な回答をしたぱいおを、もふともはまじまじと見た。

『へぇ。意外とちゃんと見てるんだ。』

「なっ!なんすか?純純さんが無理だからってウチを狙うのはやめてくださいよ?」

ぱいおがさっと両手で胸を隠す。

「誰が狙うか!」

吹雪は止む気配がなかった。

「はぁぁぁぁー。生き返るぅー。」

極上の声を漏らすのはもふともだ。

結局吹雪は全く止まず、頑張って無理やり少しずつ進んでいた一向だったが、道中に温泉宿を見つけた。

人間が経営しているわけではない宿だったが、人間の助態たちを快く迎え入れてくれた。

「この機会にもふともさんもあそこの毛を剃ったらどうっすか?」

せっせと自分の毛の処理をしながらぱいおが提案する。

「そうよ。しっかり手入れしないと男から嫌われるわよ?」

くびちはI字のカミソリで慎重に毛を処理していた。

「あ!アタイは自然体がいいんだよ!」

口元まで湯舟につかりながらぶくぶくともふともが言う。

「よし!残りは抜いて終わりっと。」

そう言って泡を落とす。

女のもふともから見てもくびちの体はエロい。

「アンタって何で旅に参加したの?」

もふともが気になるのも当然だ。

くびちは美人でスレンダー。胸もありお尻は小さ目で足も長い。

それなりの年齢なんだから、結婚を考えてもいいと思われても仕方ない。

「そうねぇ。」

物思いにふけるように言いながら、上品にくびちが湯舟に入る。

「最初見た時は、子供2人組かと思ったわ。あんなのが勇者とヒロイン?って思ったのは間違いないわ。だからかしらね?ちょっとからかってみようと思って声をかけただけだったんだけどねぇー。」

「そのまま流れに任せて一緒に行動するようになったってことかい?」

「そうなんだけどちょっと違うわね。一緒に行動している内にだんだんと助態にひかれていった。気がついたら好きになっていた。というのが正しい表現ね。」

「ってことはくびちさんもやっぱり助態さんのことが好きなんすか?」

ぱいおが湯舟に漬かりながら問う。

巨乳が浮力でやや浮いた。

「そりゃあ好きよ?理由はさっきも言ったように気が付いたら好きになっていただけだから、どこに惚れたとかは分からないけどね。」

「まぁー助態さんは無駄に人を引き付ける何かを持ってるっぽいすからねぇー。」

もふともを見ながら、ウチにはさっぱり分かりませんけど。と付け加えた。

ぱいおの視線に気づかないままもふともは、ふーん。そんなもんかねぇ。と呟いた。

「お!純純!相変わらずいい体してんねぇー。」

黙ってみんなの話を聞きながら体を洗っていた純純が湯舟に入ってきた。

それを見てもふともが、鼻血を垂らしながらすべすべの体をベタベタと触る。

「あなたこそ、小娘と助態のどっちが好きなの?」

半眼になってくびちがもふともに聞く。

「は?アタイ?アタイは純純一筋に決まってんじゃん!」

上ずった声で答えるもふともを見て、くびちがまだまだ子供ね。と呟いた。

もふともが言い返そうとしたが、その前にぶららの声がしてそれを遮った。

「はいみんな注も~く!」

隣にルブマを引き連れている。

「ちょ!ぶららさんほんとにやめてください。」

腕を引っ張られながらルブマは困っている。

巻き付けるためのタオルをぶららに取られたのか、胸と前を両手でそれぞれ隠している。

「じゃーん!ぺちゃぱいツルツルコンビー!」

ばっとぶららが両手両足を広げる。ついでに胸を隠していた方のルブマの手も上方に挙げて胸を丸見えにする。

「助態はこんなののどこがいいんだろうねぇ?」

ルブマの全く毛の生えていないアソコをまじまじと見ながらもふともが言う。

「ちょ!そんなジロジロ見ないでください!」

「ボクのなら見てもいいよー?女の子に見られても嬉しくないけど。」

ツルツルぺちゃんこの体を思いっきりもふともに見せつける。

「やーっぱりルブマの体もぶららの体もアタイは興奮しないねぇ。」

そう言いながらもふともは湯舟に戻る。

ルブマが、お嫁に行けないと泣いているのをみんなが無視した。

「そりゃー普通好きなタイプの人の裸しか興奮しないんじゃないっすか?女なら誰でもってのは男の本能だけっすよ。ウチも助態さんの裸じゃ濡れませんけどガチムチなら濡れますからねー。」

「性欲の塊のぱいおですらそうだもんなー。」

湯船でもふともがまたぶくぶくした。

「まぁー助態さんは、幼児体型のルブマさんやぶららさんがタイプみたいっすけど、くびちさんの胸も大好物なレベルのゲスっぷりっすからね。女のウチでは思考が読めないってのが本音っすよ。」

「な!別に助態のことは今関係ないだろ?」

「あら?でもあなた今、ルブマの体を見ながら、助態はルブマのどこがいいんだろう?って言ってたわよ?」

慌てるもふともにくびちが追い打ちをかける。

「あ、あれは純粋に、子供っぽいルブマのどこに興奮要素があるのかって意味だよ!」

「うぅぅ…もうそれ以上私を汚さないでくださいー。」

洗い場の隅の方でルブマはずーんとなりながら泣いていた。

「まぁまぁルブマ。見られても減るもんじゃないよ?」

ぽん。とぶららがルブマの方に手を置いて慰める。

ルブマはぶららに手を引かれながら湯舟に入ってきた。

「まぁあれっすよね。助態さんからしたらこのパーティーって普通にハーレムなんすよね。」

「そうね。いわばみんなが恋のライバルってことなのよね。」

ぱいおの意見に頷きながらくびちは純純のことを見た。

『ぼーっとしてるけどこの子は分かってるのかしら?』

『確かにいい湯だ。』

1人ゆっくり湯舟に漬かりながら助態はそんなことを思う。

この世界に来てから1人になるのは久しぶりだった。

隣の女湯から声が聞こえてくるのは気にしないことにした。

『それにしてもルブマだけでなくてぶららもツルツルなのか。』

こっそりと助態はにやけた。

そしてここで助態は気が付いてしまった。

『そうか!誰もいないということは今こそオ○ニーをするタイミングなんじゃないか?』

自分の下半身、エクスカリハーを見下ろした。

ムードも気分もあったものじゃないが、タイミングとしては今しかないのも事実だった。

幸いにも温泉には助態一向しかいない。

つまり、男湯には助態1人。

助態はそっとエクスカリハーに手を伸ばす。

「この時をどれ程待ち望んだことか…」

思わず口に出してしまうが、それを聞く人もいない。

ルブマの下半身を想像しつつ、いつも揉んでいるくびちの胸の感触を思い出し、顔は実はタイプのもふともの顔にぱいおの眼鏡、そして声は純純。

実はメンバー全員がそれぞれに助態の癖に刺さっていた。

これらを思い出しながらエクスカリハーをさする。

「おふぅ…」

久しぶりの感覚に声が漏れる。

「あら勇者様♡」

温泉を経営している種族、淫魔族のアンアンが急に入ってきた。

淫魔族。いわゆるサキュバスと呼ばれる種族だ。

個体によって姿形は異なるそうだが、基本的には背中に小さな羽を生やしているのが特徴。

そして当然、性欲を糧にしている。

繁殖期は勝手に男の種を種付けされるが、それ以外の時は性欲はただの餌でしかない。

「あ、アンアンさん…」

大きく腫れあがったエクスカリハーがアンアンの目に止まる。

「ジュルリ♡」

アンアンが涎を長めの下で舐めとった。

「いっただきまーす♡」

「ちょ!ちょっと待って!」

助態が止めようとするのも時すでに遅し。

アンアンは文字通り助態の性欲のみを吸い取った。

行為は一切及んでいない。

しかし性欲が吸い取られてしまい空になったために萎えるエクスカリハー。

何もしていないが故に賢者タイムもない。

しかし欲が復活しないので、しようとも思わない。

ただただ助態の中にモヤモヤだけが残った。

「ごちそーさま♡」

ペロリと下で口の周りを舐めながらアンアンは出ていった。

「何しに来たんだよ…」

がくりと項垂れながら助態は呟くが、その呟きは誰にも届かない。

「何があったんすかねぇ?」

夕食時、明らかに元気をなくしている助態を見てぱいおは隣のもふともに耳打ちをする。

風呂は最高だった。元気がなくなる理由がない。そんなに男湯が酷い環境だったのだろうかとも思ったが、淫魔族が経営している温泉宿だ。それはないだろう。むしろ男湯の方が豪華なはずだ。

「もしかして淫魔族の誰かとヤっちゃったんすか?」

冗談半分で聞いたのに、助態は更に落ち込んだ。

「うわ…まじっすか。つーかなんで落ち込んでるんすか?ヤったならもっとスッキリした顔してくださいよ!」

「いやでも今って淫魔族は繁殖期じゃないだろ?」

もふともがぱいおに言うと、ぱいおもそうっすよねー。と悩む顔を見せた。

「なんかあったの?」

くびちが優しく隣にいる助態に聞く。

くびちの反対隣では純純がヤるって何ですか?とルブマに聞き、ルブマが苦笑いをし、ルブマの目の前に座るぶららが丁寧に説明していた。

「それがさぁ…」

口を開いた助態の目の前の席にアンアンが遅れてやって来て座った。

「あ、勇者様♡さっきはどうも♡」

勘違いをさせる爆弾発言だ。

「アンタやっぱりヤったのか!」

ガタッともふともが椅子から立ち上がる。

「あいてーっすね。」

ぱいおは胸を隠す仕草をする。

純純、ルブマ、ぶららはまだ熱心にヤることについて話している。(主にぶららが一方的に)

「欲求には勝てなかったということかしら?」

穏やかな言葉だが、言葉1つ1つにトゲのある言い方をしたのはくびちだ。

「いや違うんだ!久しぶりに1人になったから、ぱいおやもふともが言ってた通り1人でシようとしたんだ。そしたらアンアンさんに性欲だけを吸われて何にも出来なかったんだよ…」

しょぼーんとした姿を見て、もふともは思わず笑いがこみ上げてくるのを我慢した。

「ごちそーさま♡」

にこっと笑いながら目の前でアンアンが言う。

「わざわざ勘違いするような言い方をすることないだろう?」

「あら。このパーティーは勇者様以外女でしょ?とゆーことは女の戦場よ?少しはそういうこともしないとね。」

ふてくされる助態にウインクしながらアンアンは言い、更に続ける。

「この発情期パーティーに私も入れて貰うわ。獣だからってお風呂にも入らなかった栗鼠族もいるみたいだし、いいでしょ?」

ちらりとハクダクのことをアンアンが見る。

「エロ盛りの淫魔が!」

ハクダクが珍しく敵意をむき出しにしている。

「仲悪いのか?」

驚いて助態が聞くと、どうやら淫魔族が他の種族から煙たがられているようだ。

「当たり前です!おいしい液体を性欲を吸い取って出させなくしちゃうんですよ?酷い種族ですよ!仲がいいのは種を分けて貰ってる海詠族くらいじゃないですか?」

ぷいっとハクダクがそっぽ向く。

2人を見て苦笑いする助態に向かってくびちが質問する。

「ところで1人でシようとした時、おかずは何だったのかしら?」

「もちろん全員だよ!」

笑顔で答え、全員から殴られた。

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