異世界転生しか勝たん~第十四稿 サラダ村の発展と人民掌握軍の急襲~

異世界転生しか勝たん

それにしても私が描いた物語だとつまらないのに、自分が体験するとこうも面白いのは何だか腑に落ちないなー。

まぁ物語の大筋が同じなだけで、登場するエピソードとか事件とか全然違うもんなー。

そもそもバジルちゃんもルッコラ君もこんな性格の設定にしてないし。

キャラ立ちすぎでしょ2人とも!

「なによ?」

またバジルちゃんに睨まれてしまった。

「えーとさ、バジルはとりあえず遠くの木から木を運んできてくれないかな?飛べるし簡単でしょ?」

「はぁ?何で私がそんなことしなきゃいけないのよ!バンパイアに行かせなさいよ!」

ビシッとバジルちゃんがルッコラ君を指さす。

いやいやいや。ルッコラ君飛べないし、君手伝ってくれるって言ったじゃん。

「じゃあみんなで行く?」

本当は道路の整備が最初なんだけど仕方ない。

「ま。しょうがないんじゃない?それでいいわよ。」

「あ、あのー。」

バジルちゃんが決定!って言った後に、言いにくそうにおどおどとルッコラ君が言う。

律儀に片手を挙げている。

「何よ!」

両手を組みながらバジルちゃんが名一杯威厳を見せつけるように言う。

それでも身長がルッコラ君の半分にも届いていない。

それにしてもルッコラ君が自ら発言するなんて珍しい。一体なんだろう?

「どうしたの?ルッコラ。」

私が優しく声をかけると、ほっとしたようにルッコラ君が自分の考えを述べた。

「あ、あの。その前に道の整備をした方がいいんじゃないかな?それと、一度に大量に運べるように運ぶための道具も作った方がいいと思うんだけど…」

キョロキョロと、私とバジルちゃんを交互に見ながらルッコラ君が冴えたことを言う。

道の整備は設定通りだけど、なるほどそうか。運ぶための道具か。荷車みたいのねー。確かに必要だよね。

「いい」

「あんたばかぁ?」

私がいいね。と言おうとするのを遮ってバジルちゃんが言う。

もぉー。この子は何で必ず否定から入るかなー?

「私は空を飛べるのに道の整備や運ぶ道具なんて必要ないでしょ?」

何であなたのことが前提で話しが進んでるよの。

ここまで極端じゃないけど、こういう人っているなー。

「あのさ、確かにバジルは飛べるけど私もルッコラも飛べないじゃん?それに道を整備するってのは、サラダ村にとってもいいことでしょ?みんなが他の村に行きやすくなれば、色んな作物を入手しやすくなるわけだから、バジルが食べるご飯もおいしいものになるよ?」

最後にとって付けたように言葉を足したけど、どうやらそれが効いたらしい。

「確かにそれは大事ね!なるほど。そのためには柵を作って村を守る必要もあるわね。それを先に言いなさいよー。それなら私が木を採って来るからあんた達2人は道を整備してなさい。」

そう言うと早速バジルちゃんは飛んで行った。

なんて現金な子なのかしら。

まぁ、丸く収まったからいっか。

私とルッコラ君は、サラダ村の人にスコップを借りてとりあえず道をたいらにすることにした。

街道の整備は想像以上に重労働だった。

ルッコラ君は文句も言わずにやってくれてる。バジルちゃんもおいしいご飯のためにせっせと働いてくれている。

村の人たちも、畑仕事が終わると街道の整備や柵作りに加わってくれた。

私は普段の運動不足のせいもあって一番役立たずになっていた。

「いいんですよ勇者様なんですから。」

という謎の理由で私は何とか役立たずではない。という体裁を保っていた。

何度も往復をするバジルちゃんには白い目で見られてるけど。

何日か経つと、立派な柵がいくつか出来上がって、村の周囲の4分の1を防御した。

「この村は横に川が流れてるからそこは囲わなくていいし、いずれレタス村と繋げるからそっち方面もとりあえず囲わなくていいと思うんだ。」

という私の提案によって、南側に柵を立てた。

川は西側を流れている。道路の整備をしているのは北側で川沿いに北上して、途中を西側に渡るとレタス村がある。

これは私の設定通り。

周囲を人民掌握軍に囲まれていてまともな食糧は手に入らない。

レタス村では一応の畜産はしているけど、それもいずれ枯渇する可能性がある。

そのために畑を作るわけだけど、野菜だけじゃちょっと心細い。

やっぱり肉、野菜、魚、穀物は必要だよね。

しょうがない!ここは私がサラダ村を豊かな村に成長させますか!

まずは畑でじゃが芋と小麦を栽培してもらおうかな。

そこまで大きな面積の畑があるわけじゃないから、村の外にも畑を作りたいなー。

でもそうなるとその畑を守るために更に柵が必要かー。

難しいね。村作りって。

更にレタス村までまとめて囲みたいもんなー。まとめて囲むなら、その手前の柵は無駄になるしなー。

「とりあえず村の中だけに畑を作ったら?」

ルッコラ君が提案してくれた。

そうだね。そこまで大きな畑を作っても種とかそんなにないし。

「私はいつまで木を運べばいいのよ。」

もう!とバジルちゃんが怒る。

確かにかなりたくさんの木を運んでもらったし、そろそろ一回ストップして貰ってもいいかな?

「ありがとうバジル。とりあえず一休みして。毎日働きっぱなしで疲れたでしょ?あっちに採れたてオレンジのジュースがあるよ。」

私がそう言うと、それを早く言いなさいよー。とジュースを取りに行った。

「私たちも行こっか?」

私とルッコラ君も一休みすることにした。

サラダ村は私が来た時と比べるとかなり住みやすい村になった。

村の南側は柵が完成し、村の畑にはじゃが芋と小麦が育てられ、北側には街道が少しずつ出来ている。

街道は今、バジルちゃんが木を運んでくれる森にまで到達している。ここの先を西側に折れると私たちがレタス村に向かうのに使った橋がある。

とりあえずそこまで街道を作る予定だけど今はまだいいかな。

何しろサラダ村に危機が迫って来たからね。

「人民掌握軍だー!」

私達が道を整備したからね。

この土地を奪おうって魂胆なんだろうけど、ちゃんと足止めするための小さな柵が所々に設置してある。

レタス村と大きく柵で囲むまでの間の防御壁だ。

村人もたくましい。弓矢や槍を持って柵の所まで来て戦おうとしている。

敵は北の街道から攻めてきている。西側に流れる川のせいで人民掌握軍は正面突破か東側のまばらに生えている木々の箇所から村に攻めるしかない。

「バジルとルッコラお願いできる?」

私が偵察を頼んだ。まばらにしか木は生えていないとはいえ、人間が偵察するにはリスクがある。

「はぁ?あんたばかぁ?」

また出ましたバジルちゃんのあんたばかぁ?が。

「このままこの村が襲われたら美味しいご飯とか食べれなくなっちゃうよ?」

私はここ数日でバジルちゃんの扱い方がかなり上手になってきていた。

まぁ私も美味しいご飯は食べたいし、せっかく作った作物が荒らされるのは嫌だからね。

「…まぁ美味しい食べ物のためならしょうがないわねぇ…パセリがそう言うならちゃっちゃっと偵察してくるよ!」

本当にバジルちゃんは現金な子だ。

あ、パセリってのは今の私の名前ね。

さてと。これで木々のところから攻められるのはこれで防げるでしょ。腐ってもフェアリーとバンパイアなんだし。

私は正面からくる敵を倒しますか。

「みんなは弓矢で援護をお願い!」

そう指示を出して私は正面から突っ込んでくる鎧を身につけたおっさんと対峙した。

「止まりなさい人民掌握軍!この地を荒らすことは許しません!」

聖盾を掲げながら私が叫ぶが、それで止まってはくれない。

仕方ない…殺したくはないけど、こっちも命がかかってるからね。

聖盾を掲げると私の体は白い膜で覆われた。

多分薄いバリアみたいなものだと勝手に思っている。

剣を構えて突っ込んでくるのを盾を当ててガードする。

ガギィーン!

金属と金属が当たる音が響き渡る。

そのまま盾を剣に押し当てたまま、おっさんを後ろに押す。

わお!パセリって力結構あるね。もしかして畑仕事とか街道整備で筋肉付いた?

「ぐ…勇者がこの村にいるという噂は本当だったのか…」

おっさんはそう言うと、退け―と全軍に号令を出して拠点まで退いて行った。

部隊長だったのかな?

何にしろ、とりあえずの危機は去った。

人民掌握軍が攻めてきたことで、サラダ村の人達は交代で見張りをすることにした。

見張りの数は南の柵の箇所は数人で、木々の間の見回りもして、北側を多めに配置した。

「人民掌握軍が来たってことはレタス村やられちゃったのかな?」

私が村のおばあちゃんに訊ねると、どうもそういうわけではないらしい。

「村が落ちてここに攻められる可能性もありますが、それよりも川沿いに真っ直ぐ進むと掌握軍の拠点があります。恐らくそこから攻められたのでしょう。」

街道が出来たことで、落とすべき箇所という認識を受けたのかもしれないらしい。

んー。となるとちょっと考え方を変えようか。

「レタス村と合体させるのもいいですけど、とりあえずこの村だけ柵で囲っちゃいましょうか?」

というのも、いずれレタス村と一緒に囲うとしても、元サラダ村を居住区、元レタス村を産業区などに分ければいいんじゃね?と思いついてしまったからだ。

冴えてるね私!

居住区は敵の侵入を防ぐために二重の防壁があってもいいもんね?

というわけで、とりあえずレタス村をぐるりと一周柵で囲むことにした。

北側に設置してある点在している柵は村の守りの要だからそのまま置いておく。

この点在している柵が無い南側は柵を少し強めにするとかの対策もいずれ必要かな。

まぁ何にしろとりあえずの危機は去ったね。

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