文化祭が終わると、高校生活で一番のイベント、修学旅行だ。
公立の高校にも関わらず、外国語に力を入れていることもあり、俺は人生で初めて海外を体験した。
飛行機の席は完全ランダムで、隣は高山だった。
なんとなく気まずい。
「むっちんは好きな人とかいないの?」
あの日の話しの続きを高山はしてくる。
目の前にいるさ。
しかし俺はどこまで行ってもかっこつけたがりだった。
「今はバスケが全てだからなー」
部活に熱中に打ち込んでいる自分は、きっとかっこいいだろう。そう思い込んでいた。
「ふーん。恋愛に興味ないんだ? もったいない」
確かに高山はもったいない。と言った。
後からは分かる。だがこの時の俺は、高山の心を掴んだつもりでいた。
「これおいしくないね」
機内では高山が終始俺に話しかけてきた。
これは絶対高山は俺に気がある。
俺は確信した。
だからこそ。自分からは何一つ動かなかった。
ひたすらに、高山からの告白を待っていたのだ。
本当にバカだったと思う。
高山は俺にずっとアピールをしていたのに……
「ねぇむっちん……」
高山の声のトーンが落ちた。
「ん?」
目の前の映画に夢中になっていた俺は、曖昧な返事をした。
今いいところなのだ。
「女バスって恋愛禁止じゃん?」
「あー。だなー」
大事な話しなのに適当に返事をした。
映画はクライマックスだった。
「もし、私が誰かに告白されて彼氏ができたらマズいかな?」
映画の世界に引き込まれそうになっていた俺は現実に引き戻された。
これは――
俺への告白だ!
「別にマズくはないんじゃないか?」
俺はバカだった。
高山は確かに言っていた。
”誰かに告白されて”と。自分が告白してとは言っていない。
「そっか……」
その寂しそうな横顔を、俺は一生忘れることができなかった……

