駅前に着くともうみんな揃っていた。
「おせーぞ」
落合がが言うと、そうよー。と佐々木が悪ノリした。
佐々木はショーパンにシャツというラフな格好だったが、とても可愛かった。
ついつい見とれてしまう。
今日はみんなで電車に乗って行く。
思えば、誰かと一緒に電車に乗るのは、前に白石と乗ったっきりだ。
あの時はまだコンとユイの関係だったな。
俺たちは2人だけの世界にいた。
「考えごと?」
隣に立つ佐々木が声をかけてくる。
「え? いや。ただぼーっとしてただけ」
「朝倉ってたまにここにいないことあるよね?」
「は?」
意味が分からず聞き返すと、ふふふ。と笑われた。
その笑顔がもう可愛い。
「なんかみんなといるのに、考えごとしてるような感じの時あるから」
「そうか?」
よく見てるな。
頭が痛くなったり、草原の光景が頭に浮かんだりしてる時のことだろうな……
「なぁーんか私たちに隠しごとしてるんじゃないのぉー?」
にやーっと笑いながら、上目遣いで見てくる。
心臓が跳ねた。
俺、今顔赤くなってないだろうな……
「そんなのないに決まってるだろ?」
「だよね」
ふふふ。と笑いながら正面に向き直った。
まだしばらく心臓がドキドキしている。
●
駅に着くと目的地の神社へ向かった。
この神社には霊が出るとかなんとか。
俺としてはオカルトすぎて興味もわかない。
そういえば、小さい頃にも同じようなことをした気がする……
確か白石と。いや、コンと。
「小さい頃に似たようなことしなかったか?」
みんなに聞こえないように、ヒソヒソと白石に聞いてみる。
「……」
白石が口をポカンと開けてこっちを見る。
「どした?」
後ろにいた落合が聞いてくる。
一瞬白石から目を話したすきに、白石の表情は元に戻っていた。
「いや。霊とかって夜にならないと出ないんじゃないかなって思って」
このセリフ。小さい頃に白石に言っている。
絶対だ。
間違いない。
俺は小さい頃に白石と一緒に霊探しを――
いや、もっと子供っぽい遊びだ。
お化け探しをしたことがある……
チラリと白石を見るが、白石の表情からは何も分からない。
「確かになー。でもそれならそれでまた1つ疑問が浮かぶな」
空を見上げながら落合が俺の言葉に応える。
「なんで夜なんだろうな」
確かに。
こんなに薄暗い場所なら昼間に霊が出てもおかしくない。
「夜の方が恐怖心を煽るからよ」
白石がピシャリと言った。
全員が足を止めて白石を見る。
「なに?」
みんなから注目を浴びるとは思っていなかったのだろう。
逆に不思議そうに白石が全員を見る。
「白石さんの意見すごく説得力があります」
塩田だ。
「さーくーみー」
白石が塩田の肩に腕を回す。
肩を組むような形だ。
「敬語やめなって言ってるでしょ?」
ツンとおでこを指で突く。
背の高い白石と背の低い塩田。
何もかもが正反対の2人が、こうして仲良くしている光景を見るのは不思議だ。
「ごめんなさい」
おでこをさすりながら、また塩田は敬語で話す。
「なーに見とれてるの?」
隣で佐々木が俺に声をかける。
「いやー。こうも正反対の2人が一緒に居るのが不思議だなーって。不思議探し同好会の中の不思議だよなー」
「うまいこと言うな!」
落合が肩を組んでくる。
さっきまで白石が塩田にしていたことだ。
「こっちも不思議だよな?」
こっち。と言って、落合と俺を交互に指さす。
「ポンコツと出来過ぎだもんな」
俺が言うとすかさず落合が突っ込んだ。
「誰がポンコツだって?」
全員が声を上げて笑った。
確かに、俺がこんなに笑うことも不思議だし、俺にこんなに友達ができたことも不思議だ。
俺にはもったいなすぎる友達だ――

