君だけが俺をユイと呼ぶ~第22話 意外な不思議~

君だけが俺をユイと呼ぶ

 駅前に着くともうみんな揃っていた。

「おせーぞ」
 落合がが言うと、そうよー。と佐々木が悪ノリした。

 佐々木はショーパンにシャツというラフな格好だったが、とても可愛かった。
 ついつい見とれてしまう。

 今日はみんなで電車に乗って行く。
 思えば、誰かと一緒に電車に乗るのは、前に白石と乗ったっきりだ。
 あの時はまだコンとユイの関係だったな。
 俺たちは2人だけの世界にいた。

「考えごと?」
 隣に立つ佐々木が声をかけてくる。
「え? いや。ただぼーっとしてただけ」
「朝倉ってたまにここにいないことあるよね?」
「は?」
 意味が分からず聞き返すと、ふふふ。と笑われた。
 その笑顔がもう可愛い。
「なんかみんなといるのに、考えごとしてるような感じの時あるから」
「そうか?」
 よく見てるな。
 頭が痛くなったり、草原の光景が頭に浮かんだりしてる時のことだろうな……
「なぁーんか私たちに隠しごとしてるんじゃないのぉー?」
 にやーっと笑いながら、上目遣いで見てくる。

 心臓が跳ねた。

 俺、今顔赤くなってないだろうな……

「そんなのないに決まってるだろ?」
「だよね」

 ふふふ。と笑いながら正面に向き直った。

 まだしばらく心臓がドキドキしている。

 ●

 駅に着くと目的地の神社へ向かった。

 この神社には霊が出るとかなんとか。
 俺としてはオカルトすぎて興味もわかない。

 そういえば、小さい頃にも同じようなことをした気がする……
 確か白石と。いや、コンと。

「小さい頃に似たようなことしなかったか?」

 みんなに聞こえないように、ヒソヒソと白石に聞いてみる。

「……」

 白石が口をポカンと開けてこっちを見る。

「どした?」

 後ろにいた落合が聞いてくる。
 一瞬白石から目を話したすきに、白石の表情は元に戻っていた。

「いや。霊とかって夜にならないと出ないんじゃないかなって思って」
 このセリフ。小さい頃に白石に言っている。
 絶対だ。
 間違いない。

 俺は小さい頃に白石と一緒に霊探しを――
 いや、もっと子供っぽい遊びだ。
 お化け探しをしたことがある……

 チラリと白石を見るが、白石の表情からは何も分からない。

「確かになー。でもそれならそれでまた1つ疑問が浮かぶな」
 空を見上げながら落合が俺の言葉に応える。
「なんで夜なんだろうな」

 確かに。
 こんなに薄暗い場所なら昼間に霊が出てもおかしくない。

「夜の方が恐怖心を煽るからよ」

 白石がピシャリと言った。

 全員が足を止めて白石を見る。

「なに?」

 みんなから注目を浴びるとは思っていなかったのだろう。
 逆に不思議そうに白石が全員を見る。

「白石さんの意見すごく説得力があります」
 塩田だ。

「さーくーみー」
 白石が塩田の肩に腕を回す。
 肩を組むような形だ。
「敬語やめなって言ってるでしょ?」
 ツンとおでこを指で突く。

 背の高い白石と背の低い塩田。
 何もかもが正反対の2人が、こうして仲良くしている光景を見るのは不思議だ。
「ごめんなさい」
 おでこをさすりながら、また塩田は敬語で話す。

「なーに見とれてるの?」
 隣で佐々木が俺に声をかける。

「いやー。こうも正反対の2人が一緒に居るのが不思議だなーって。不思議探し同好会の中の不思議だよなー」

「うまいこと言うな!」

 落合が肩を組んでくる。
 さっきまで白石が塩田にしていたことだ。

「こっちも不思議だよな?」
 こっち。と言って、落合と俺を交互に指さす。

「ポンコツと出来過ぎだもんな」
 俺が言うとすかさず落合が突っ込んだ。
「誰がポンコツだって?」

 全員が声を上げて笑った。

 確かに、俺がこんなに笑うことも不思議だし、俺にこんなに友達ができたことも不思議だ。

 俺にはもったいなすぎる友達だ――

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