夏休みは矢のように時間が過ぎた。
部活をしている。
というだけで、忙しいというのを肌で感じていた。
白石からメッセージだ。
<明日10時に駅前集合だって>
<分かったありがとう>
ここで手が止まる。
<佐々木、俺のことなんか言ってた?>
あからさますぎるか?
何度か数えられないくらい、同じような文章を打っては消していた。
結局、俺の返信しかできないでいる。
<そろそろ新しいスマホ買えば?>
新しいスマホかー。
今までは不便さを感じなかったんだが……
俺のスマホは古いらしく、みんなが使っているメッセージアプリを使うことができない。
唯一、白石と古いメッセージアプリでやり取りをしていた。
確かにこうやって団体行動を取ることが多くなると、新しいアプリが必要になるのかもしれないな。
けどスマホとかよく分からないしなー。
<考えておくよ>
もし俺が新しいスマホを買ったら、毎日佐々木とやり取りができるんだな。
新しいスマホか……
ありだな!
●
ユイと私だけのものがあった。
スマホでの連絡だ。
でも……
ユイはもう私を見てくれない。
私もユイに囚われてはいけない……
ユイの邪魔をしてはいけない……
そう思えば思う程に心が痛くなる……
『私はどうしたいんだろ……ズルすぎるよ……』
勝手に涙が出てきた。
そして、やめなきゃいけないのにまた私はユイにメッセージを送る……
●
お。また白石からメッセージだ。
夏休みになってから多いな。
ま。俺も夏休みって暇だし白石も同じ感じなんだろうな。
特に今日みたいに、同好会の活動もないとなると尚更だ。
明日が楽しみすぎる。
<明日はちょっと遠出だね>
<あぁ。みんなで電車乗るの初めてじゃないか?>
<さくみなんて緊張しすぎて寝れないとか言ってたよ>
いつの間にか、白石と塩田は仲良くなっていた。
聞くところによると、2人で買い物まで行く仲だとか。
<なんとなく気持ち分かるかもしれん>
<そうなの?>
<じゃあ癒される写真を送ってあげよう>
はっきり言って、俺は白石の写真が送られてくるのだろうと少し期待した。
送られてきたのは、白石が飼っている猫の写真だった。
「確かに癒されるけども!」
何だかモヤモヤして余計に寝付けなくなった。
●
さて……どうするか……
ここで送ったら迷惑になるか?
いやでも近況報告くらいいいよね?
……前回送ったのが1週間前。
既読は付いているけど返信は無し。
これってもう脈なしなのかなぁ?……
<私は今。不思議探し同好会ってゆーのに参加してるよ。そっちはどう?>
<相変わらず忙しい?>
連絡待っています。と。
ちょっと仰々しいかな。
<久しぶりー!>
<暑いねー。こっちはもう夏だけどそっちはまだ涼しいのかなぁ?>
軽すぎかな?
なんかわざとらしい気もする。
はぁー。かおるちゃんは凄いな。
好きな人に対して真っすぐで。
私は送ることすらできないのに……
私もあんな風に強くなりたいよ……
