君だけが俺をユイと呼ぶ~第21話 連絡~

君だけが俺をユイと呼ぶ

 夏休みは矢のように時間が過ぎた。

 部活をしている。
 というだけで、忙しいというのを肌で感じていた。

 白石からメッセージだ。
<明日10時に駅前集合だって>
<分かったありがとう>
 ここで手が止まる。
<佐々木、俺のことなんか言ってた?>
 あからさますぎるか?

 何度か数えられないくらい、同じような文章を打っては消していた。

 結局、俺の返信しかできないでいる。

<そろそろ新しいスマホ買えば?>

 新しいスマホかー。
 今までは不便さを感じなかったんだが……

 俺のスマホは古いらしく、みんなが使っているメッセージアプリを使うことができない。
 唯一、白石と古いメッセージアプリでやり取りをしていた。

 確かにこうやって団体行動を取ることが多くなると、新しいアプリが必要になるのかもしれないな。

 けどスマホとかよく分からないしなー。

<考えておくよ>

 もし俺が新しいスマホを買ったら、毎日佐々木とやり取りができるんだな。
 新しいスマホか……
 ありだな!

 ●

 ユイと私だけのものがあった。

 スマホでの連絡だ。

 でも……
 ユイはもう私を見てくれない。
 私もユイに囚われてはいけない……

 ユイの邪魔をしてはいけない……

 そう思えば思う程に心が痛くなる……

『私はどうしたいんだろ……ズルすぎるよ……』

 勝手に涙が出てきた。

 そして、やめなきゃいけないのにまた私はユイにメッセージを送る……

 ●

 お。また白石からメッセージだ。

 夏休みになってから多いな。

 ま。俺も夏休みって暇だし白石も同じ感じなんだろうな。

 特に今日みたいに、同好会の活動もないとなると尚更だ。

 明日が楽しみすぎる。

<明日はちょっと遠出だね>
<あぁ。みんなで電車乗るの初めてじゃないか?>
<さくみなんて緊張しすぎて寝れないとか言ってたよ>

 いつの間にか、白石と塩田は仲良くなっていた。
 聞くところによると、2人で買い物まで行く仲だとか。

<なんとなく気持ち分かるかもしれん>
<そうなの?>
<じゃあ癒される写真を送ってあげよう>

 はっきり言って、俺は白石の写真が送られてくるのだろうと少し期待した。

 送られてきたのは、白石が飼っている猫の写真だった。

「確かに癒されるけども!」

 何だかモヤモヤして余計に寝付けなくなった。

 ●

 さて……どうするか……

 ここで送ったら迷惑になるか?

 いやでも近況報告くらいいいよね?

 ……前回送ったのが1週間前。

 既読は付いているけど返信は無し。

 これってもう脈なしなのかなぁ?……

<私は今。不思議探し同好会ってゆーのに参加してるよ。そっちはどう?>
<相変わらず忙しい?>

 連絡待っています。と。
 ちょっと仰々しいかな。

<久しぶりー!>
<暑いねー。こっちはもう夏だけどそっちはまだ涼しいのかなぁ?>

 軽すぎかな?
 なんかわざとらしい気もする。

 はぁー。かおるちゃんは凄いな。
 好きな人に対して真っすぐで。

 私は送ることすらできないのに……

 私もあんな風に強くなりたいよ……

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