佐々木が2番目?
俺にはそうは思えない。
少なくとも俺にとっては一番だ。少なくとも俺にとっては……
けど、もしも今までずっと2番目を味わっていたんだとしたら。
それって意外と辛いよな……
「2番目……か……小学生の頃にも言われたな」
あれは何の話をしていた時だっけ?
突然しげが言ったんだよな。
「はるとが1番目で俺は2番目だなー」
「何だよ1番とか2番って」
「さくらちゃんに好かれている度!」
「好かれている度? なんだそれ」
「はるとは分かってないなー」
「分かってないって何がだよ」
「自分の凄さに」
「あのなぁ。俺なんかよりもしげの方がたくさん凄いんだぞ?」
「そんなこと俺に言ってくれるのは、はるとくらいだよ」
「しげ……」
<誕生日プレゼントありがとうね!>
そんなことを考えていたら、塩田からメッセージが来た。
俺があげたプレゼントはメッセージボードのような物だ。
そんなお礼を言われるほどの物でもない。
むしろ、メッセージをくれたみんなにお礼を言って欲しいくらいだ。
そう言えば、メッセージを求めた時もみんなそれぞれ反応が違っていたな。
「へー? ほーほー。なるほどなるほど」
と意味わからんことを言っていたのは、もちろん落合だ。
「さくにメッセージ? いいねいいね! これからもたくさん思い出作りたいもんね! 大人になってもこのメンツでいれるといいなぁー」
ハイテンションで話すのは佐々木だ。
「さくみにメッセージ? 何で朝倉くんが? 別に嫌とかじゃなくて何でわざわざって意味。あ、そうか誕生日プレゼントって言ってたっけ」
終始不機嫌だったのは白石だ。
●
「なぁ白石」
テストが終わってダラダラとできる期間に、俺は白石に声をかけた。
そうも我慢ならなかったからだ。
「何?」
相変わらず不機嫌そうな白石。
全く。不機嫌になりたいのはこっちだよ。
「最近俺のこと避けすぎじゃね?」
「は? そんなことないんだけど」
「俺に対してだけ冷たいじゃん」
「別に普通だけど?」
「嘘つくなよ。他の人と俺とで対応変えてるだろ?」
「変えてない」
「俺が何かしたか?」
「だから変えてない」
「あのなぁ白石!」
俺は失念していた。
ここが教室でみんなが見ているということを。
「明らかに俺のことを避けているだろうが!」
思わず叫んでいた。
「避けてない!」
白石も負けじと大声で返す。
「自惚れないで!」
騒がしかった教室が静まり返った。
クラスのみんなが俺と白石を見ている気がする。
「コンは別にユイのことなんて何とも思ってない!」
空気が凍った。
俺は教室から逃げるように走り去った。
後ろを追いかけるように白石が走ってきていた。
●
「何でみんなの前でコンとかユイとか言うんだよ!」
どうせ一緒の帰り道だ。
さっきの続きをしてやる。
「わざとじゃないもん! しょうがないでしょ!」
ふくれっ面をしても無駄だ。
みんなに内緒と言ってきたのはコンだ。
「昔のユイはコンだけのものだったのに」
などとわけのわからないことを言っている。
「あのなぁ。気に食わないことがあるならはっきり言えよ」
「言えるわけないでしょ!」
「何でだよ!」
「ユイは全部を思い出してないじゃん」
「は? それが何なの?」
「コンだけ全部知っててユイは全部を思い出してなくて、それでコンが嫌なこと言ったら、覚えてなかったせいにされちゃうじゃん」
「言ってる意味がわかんねぇよ」
「だからユイはズルいって言ったんだよ。それなのにコンに優しくするじゃん」
そう言うと白石は走り去ってしまった。
「なんなんだよ……」
俺の呟きだけが虚しくその場に残った。
●
ホント白石は意味わかんねぇよ!
何か言いたいくせに何も言わないで。
あれじゃあ、俺もどうしたらいいのかわかんねぇじゃねーかよ!
何でみんなの前で言うかなー。
これで絶対明日から俺が悪者になるし、ユイとかコンとか何? って聞かれるじゃんか……
しばらく白石とは距離を置こう。
思わずため息が出た。
●
やっちゃったよ……
好きなのにどうしてこんなにも衝突しちゃうんだろ……
前はこんなことなかったのにな……
喧嘩してもすぐに仲直りできてたのに……
ユイは草原のことを半分くらいしか覚えていないんだよね……
小さかったししょうがないよね……
でも。神社やタイムカプセルは逆に私が覚えていないんだよね……
「こうやってお互いに少しずつ忘れてしまうのかなぁ……」
「これからも一緒に花火見ようって言った約束も……」
「私は絶対に忘れられない存在になれたよ?」
え?
私の一人呟きに返事?
辺りを見渡しても誰もいない。
「あなたみたいな人が朝倉君のヒロインなんて絶対に許さないんだから!」
そう言って物陰から出てきたのは、私が今まで出会った中でも一番の美人だった。
かおるちゃんも美人だと思ったけど。
ごめん。
レベルが違うくらいにこの人は美人だった。
「白石かおる。私はあなたを許さない。朝倉陽人は私のものよ。ずっと前からね」
吉岡さくらと名乗った美人は、突然私に宣戦布告してきた。
